ヒメボタルの雄成虫 
ヒメボタルの雌成虫 

 本種は、林縁や林内のやや湿ったような環境に生息しています。生息地は山口県内全域に散在しています(県内分布についてはこちら)。夜行性種で、ゲンジボタルと同じように光を主体としたコミュニケーションをとりますが、 ゲンジボタルとは違いのような集団同時明滅はせず、雌雄が固有の発光パターンを持ち、雌は雄に対し応答発光することが報告され、HP システムに分類されています( ohba 1983 )。
 山口県における発生時期としては、沿岸部( 萩市指月公園や山陽小野田市 竜王山など)は発生が早く 5 月下旬に発生ピークが見られ、内陸部( 下関市豊田町華山など)では遅い傾向があり 6 月下旬に発生ピークが見られます。博物館等の収蔵標本データや生態写真データによれば、本種の県内における発生期間としては、5 月下旬〜 7 月上旬までと判断できます。
  また、本種は、「大型ヒメボタル」と「小型ヒメボタル」という2つの生態型が知られていて、発光間隔や体長、生息環境に違いが見られることが知られています。

        

ヒメボタルは、雌の下翅が退化しているため飛ぶことができません。また、雌は雄に比べ、腹部が幅広い特徴があります。

杉林や混合林、湿った林縁や山道、に生息しています。下関市豊田町の本種生息地では、オオマドボタルやカタアカホタルモドキなどと同所的に生息しています。生息地ではタキガワオオベソマイマイやオカチョウジガイ、ツクシマイマイ、カワモトギセル、リシケオトメマイマイの近縁種、ヤマタニシ、アツブタガイ、ヤマクルマガイなどの陸生貝類が確認されています。ただ、ヤマタニシなどには頑丈なフタがあるので、本種の餌とはなっていないかもしれません。
ヒメボタルの生息地
 

ヒメボタルの卵
ふ化直後のヒメボタルの幼虫
ヒメボタルの餌のオカチョウジガイ
被食されるヒメボタル♂ 

 卵は球形で淡黄色、直径約0.6mmでゲンジボタルに比べやや大きく、色が濃い。卵期は22℃条件下で約3週間。小型ヒメボタルのふ化直後の幼虫は、体長約2mmで全体淡黄色で光沢はありません。しかし、大型ヒメボタルは、背板に光沢があり黒褐色で周縁は淡褐色をしていると報告されています(大場, 2004)。幼虫は、飼育下ではオカチョウジガイやトクサオカチョウジガイなどを捕食します。最近の研究では、死んだカワニナをベイトとしたトラップで幼虫が捕獲できるようですので、死んだ貝も捕食するようです。また、死んだ貝を捕食するタワラガイなども、同時に誘引されるので、それらの貝も捕食するかもしれません。
  雄成虫は、雌が飛ぶことができないため、低く飛びながら発光します。発光間隔は、ゲンジボタルやヘイケボタルに比べ早く強い。ゲンジボタルは、強い異臭を放ちますが、本種はそれほど強い匂いを放ちません。



 ※より詳しく知りたい方は当館の刊行物の内、 研究報告書、自然ガイドシリーズをご参照ください。


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