ヘイケボタルの雌成虫
ヘイケボタルの雌雄(左雄、右雌)

 ヘイケボタルは、水田や水路、水溜りなどさまざまな水環境に生息し、県内全域に分布します。本種の生息環境は前述のような止水環境であり、圃場整備などにより生息地が急速に減少しています。本種はゲンジボタルなどと同様に夜行性種であり、光を主体に雌雄がコミュニケーションを取るとされ、コミュニケーションシステムは LL システムに分類されています( ohba, 1983 )。山口県における本種の発生時期としては、 6 月上旬から 7 月下旬までと考えられ、稀に 9 月に発生する場合もあるようです。当館の野外水路では、これまでのところ本種の放流実績はありませんが、昨年より自然発生しており、平成18年は6月3日から発生が見られました。


ヘイケボタルの全形
ヘイケボタル雄の発光器
雄の発光
雌の発光

ヘイケボタルは、水田や水路、水溜りなどさまざまな水環境に生息します。
  下関市豊田町の本種生息地の中には、生活排水のみが流入する住宅地内の側溝(左写真)なども確認されています。この側溝には、風呂・洗濯排水が流入する非常に劣悪な環境にも関わらず、多数の個体が発生しています。ここでは、淡水貝類は確認されていないことから、ユスリカ幼虫などを捕食しているものと考えられます。
ヘイケボタルが生息する水路

交尾するヘイケボタル(左雄、右雌)
ヘイケボタルの幼虫
ヘイケボタルの幼虫
飼育中の幼虫

 ヘイケボタルは、ゲンジボタルに似ますが、成虫の場合は、体長が一回り小さいこと、前胸背の黒斑が違うことで区別がつきます。さらに、ゲンジボタルの成虫は活発に歩き回りますが、ヘイケボタルの成虫はじっとしていることが多くおとなしい印象を受けます。また、ゲンジボタルは異臭を放ちますが、ヘイケボタルはそれほど異臭を放つことはありません。
  幼虫の場合は、腹部の脇にある器官鰓の形状や前胸背の黒班の違いなどで区別がつきます。さらに、ふ化直後の幼虫は、ヘイケボタルの方がやや大きく、餌へのアプローチが貪欲である点などが異なります。また、ゲンジボタルは基本的に餌へのアプローチは夜間に限られますが、ヘイケボタルは、昼間でも活発に活動します(餌を十分に与えると夜間に限られます)。さらに、幼虫は貝類以外にも、アサリやイカの刺身などを積極的に捕食します。
  発光は、ヘイケボタルはゲンジボタルに比べ、弱く、早く明滅します。


ヘイケボタルの雄成虫の発光(室内飼育容器内にて撮影)

ヘイケボタルの雌成虫の発光(室内飼育容器内にて撮影)


 ※より詳しく知りたい方は当館の刊行物の内、 研究報告書、自然ガイドシリーズをご参照ください。

 
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